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IR業務 -どの数値を高めれば証券会社にリポートを書いてもらえるのか-




【レゾンのコラム】2005年12月30日

近年、IR業務の重要性が訴えられている。企業・銀行との持ち合い解消が崩れ、継続的に自社株を保有してもらうためには、情報公開を積極的に行わなければいけないためである。しかしながら個人投資家向けのIRの難しさから、多くの企業では、安定的な株主としての機関投資家への対応として、証券会社に調査リポートを書いてもらうことで、機関投資家に自社株を保有してもらうことをひとつの目標としている。
日本においては、いわゆる機関投資家向けにリポートを提供し、執筆しているアナリストは500~600人に過ぎず、上場している企業の半数以上は、アナリストリポートが執筆されていない状況が存在する。そのようなリポートを執筆されていないような企業(IR担当者)にとっては、どのようにしてアナリストリポートを執筆してもらうかは大きな課題の一つとなっている。(アナリストカバー数は当該銘柄について過去半年に1度でもリポートを記述した場合、1社ずつをカウントしていく)

アナリスト数.bmp

 一般に証券会社はどのような基準でアナリストリポートを執筆しているのだろうか。アナリストカバー数と各種会社数値との間の関連性を分析する。
 対象母集団としては、日々刻々と変わる証券市場のため、ある程度、長期間定点的に多数の時点を持って調べることの本来望ましい。しかしアナリスト数や、証券会社のカバー数などは過去5年間、ほとんど変化のないことから、特定の1期間(2004年末)のデータ持って、調べるものとする。

下図は、アナリスト数とその他の投資指標などとの相関係数を調べたものである。

相関係数.GIF


・アナリスト数と最も相関が高いのは時価総額であり、相関係数は0.53となっている。
これはアナリスト数がリポートを発表する目的:機関投資家の株式売買のため という目的と一致する。機関投資家は一度に巨額の資金を運用するため、いわゆる小型株を購入しようとすると、自ら価格を吊り上げることになりかねない。私が伝聞した限りでは、機関投資家の社内ルールなどによって、時価総額200億円(or500億、1000億円)などの下限を設定し、その条件を満たすものだけが、投資の対象となっている。
従って、その機関投資家にアドバイス業務をしている証券会社としても、機関投資家が購入できないような小型株に対して見解を述べても意味は少なく、結果として、アナリスト数と時価総額が高い相関関係を持っているものと考えられる。

・意外に低いROEやROAなどとの相関関係
 ROAとの相関関係 0.154 ROEとの相関関係 0.003
 資本・資産の効率的な活用が促され、高いROE・ROAの企業が賞賛されているにもかかわらず、これらの相関係数はあまり高くない。アナリストがエントリー段階で資本の効率性を余り気にすることはなさそうである。むしろ上記、時価総額や会社の規模が重要だと思われているもよう。

・株主資本、売上高>営業利益>経常利益>当期利益
 アナリスト(証券会社)は利益そのものよりも会社の規模を見ることが多いようである。逆説的にいえば、企業にとって、その規模を拡大させること≒売上高を増やすことは至難だといえるのかもしれない。
その他アナリスト数と関係なくそれぞれの相関も調べてみたが、興味深いのは時価総額と最も相関が高いのは株主資本であり、会社の財政状態が評価されているところ、またアナリスト数の場合、売上高>営業利益となっていたが、時価総額との相関になると、売上高<営業利益となり、会社の利益水準が重視されるというところ。上記から推定されることは、アナリスト自体にリポートを書いてもらうためには企業の規模が必要であるが、最終的な目標である時価総額を増大されるためには、(当たり前の結論だが)利益の増大と株主資本の大きさが必要になってくるようである。)

投稿者 N.K. : 2005年12月30日 01:23






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